
交通、サイン、∅
- 清川交通遊園│Kiyokawa Traffic Park
アート・ユーザー・カンファレンスは、八王子芸術祭2025に参加し、清川交通遊園にてジェネラル・ミュージアムのプロジェクトを実施します。清川交通遊園は、道路や信号、交通標識などが展示され、子供達が交通ルールを学ぶ場所として設計されました。しかし同時にそこは本物の高速道路の下に位置し、その工事のために現在は閉鎖された空間となっています。化石燃料から分離されたアスファルトが地面を覆い、そのヒビ割れには、野鳥が種を運んだ植物が繁殖しています。この場所へ多様な眼差しを注ぐことで、公園、道路、学校、野原の要素が複雑に交錯するミュージアムが立ち現れることでしょう。
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場所|清川交通遊園
東京都八王子市清川町43-1
日時|2025年11月8日(土)〜2025年12月7日(日) 水曜休
10:00~17:00
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交通、サイン、∅
藪をかき分け、草を踏みしめ、体が通る空間を確保する。そうしてできた原初の道は人類が大地に描いた最初の構築物だっただろう。格子状に張り巡らされた都市の道路は、私たちの脳裏にある空間の観念を具現化し、大地をアスファルトで塗り固める儀式によって、自然の大地は観念の世界へと変化する。
道路は自然の大地を構造化し、そのルールを学ぶことで、私たちは衝突することなく交通空間を共有することができるようになる。信号、センターライン、横断歩道、交通標識といった交通サインを深く内面化されていて、私たちは疑うこともなくそれに従っている。赤信号と立ち止まる行為は、まるで自然の因果関係のように必然的に結びついているように感じられる。
しかし、道路が表象する直角の空間は、現実の空間ではなく、あくまで記号化された抽象空間にすぎない。因果関係が支配する自然界とは異なり、記号の世界には本来、記号とその解釈の間に自由な交通が存在している。無意識に内面化した交通サインをあらためて意識的に鑑賞する行為は、自然の物理空間と記号的な観念空間の境界を問い直し、私たちの空間の観念を根源的に反省する契機になるだろう。
工事中の清川交通遊園はそうした交通サインを鑑賞するのに最適なミュージアムとなっている。高速道路の下、交通ルールを学ぶために作られた道路や信号の模型と、アスファルトを侵食する地衣類や植物が交差する場所で、空間の観念は飽和しはじめる。そこには、観念的な意味や目的が欠如し、自然の原因や結果からも切り離された、文字通り、空(から)の空間とサインがある。
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プロジェクト企画・運営| An Art User Conference
(木原進、田澤小梅、中島水緒、橋本聡、松井勝正、ユーザーの声)
協力|梅ノ木文化計畫、田坂和実、山岸武文
SNS|instagram.com/general_museum
|twitter.com/general_museum
Contact|anartuser@gmail.com
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八王子芸術祭2025
2025年11月8日(土)〜2025年12月7日(日)
主催|八王子市、公益財団法人八王子市学園都市文化ふれあい財団