Sky
ある日の空
  • Intension
    地上に広がる空間、空気、高い場所
  • Extension
    低空、大気圏、虚空

■特性

・空は広大無辺で境界がなく、触知不可能で、基本的には視覚によってのみ把握される。空には行き止まりがなく、視覚によって奥行きを推測することはできない。

・領土、領海といった概念と同様に、空にも領空がある。その主権が及ぶ範囲は、領土及び領海(海岸線から12海里(約22km)の範囲)の上空まで。領海のような「無害通航権」は認められていない。

・二足歩行の哺乳類である人間は空を飛ぶことは出来ないが、代わりに、気球、パラグライダー、飛行機などの乗り物を開発して空というフロンティアの開拓に挑んできた。ちなみに、人類が最初に使用した「空を飛ぶ乗り物」は1783年にフランスで開発された熱気球である。

・戦争の際は、戦闘機から敵国に攻撃を行う航空戦が行われる。上空からの爆撃は敵国の建造物に壊滅的なダメージを与え、戦意を削ぐ。航空戦が初めて展開されたのは飛行機の開発以降、第一次世界大戦時のことである。

・ある土地の上空の使用権は基本的にはその土地の所有者に属する。民法の条文では「土地の所有権は,法令の制限内において,その土地の上下に及ぶ」と定義しているが、日本の法令では土地所有権の上空の限界(高さ)を厳密に規定しておらず、「土地所有者はどこまでの高さまで上空を所有しているのか」については複数の議論がある。

・国際法では、高度100km以上の空域は宇宙空間と定義されている(各国の主権は宇宙空間までは及ばない)。空と宇宙空間の境目は曖昧であると言える。

・災害や事故の際にはヘリコプターなど空からの救助・支援が活躍する。

・空は歌詞にポジティブなイメージで頻繁に登場する。

・天候、季節、時間帯、風土といった条件によって空は様相を大きく変える。「東京の空」「あの日の空」といったふうに、特定の記憶や郷愁と結びついて語られることもある。主体との関係性において、空は単一であり、複数であるとも考えられる。

・古今東西、空は多くの画家たちが描いてきた。風景画の背景の一部を成すこともあれば、空が画面の中心を占めるモチーフとなることもある。

■探し方

・空はつねに観測者の頭上にある。万人に開かれており、観覧無料である。

・空を直接的に観測するには屋外に出る必要がある(天井と四方を塞がない開放的な場所で観測するのが望ましい)。

・野原や海、砂漠といった視界の開けた空間では、空の広大さをより体感することが出来る。

・空は身近にありながら歩み寄れない対象である。登山は掴めない空に少しずつ接近していく行為とも言える。また、高層の建物の上階や山頂など高所にのぼって空を眺めると、地上の景観との対比を楽しむことが出来る。

■使い方

・写真撮影は自由。

・天窓などのフレームで区切って眺めると「空を所有した感覚」を疑似的に体験できる。

・飛行物を飛ばしたり浮遊物を漂わせたりすることができる(凧、風船、気球、ブーメラン、ラジコン、ドローン、シャボン玉、ペットボトルロケット、狼煙、伝書鳩etc.)。

・ただし、ある土地の上空の使用権は基本的に土地所有者に属しているため、他人の土地の上空に何かを飛ばす際は許可が必要。

・空は無形のスクリーンに見立てられる。現代の技術では雲にプロジェクション・マッピングを投影することも可能。

・ホースで水を撒いて空中に虹を作るなど、身近な道具で準-プロジェクション・マッピングが体験できる。

・サーチライトを使うと空に光の柱を立てることができる。サーチライトは軍事用、広告用など様々な目的で使用されてきたが、「空の景観を損ねる」「強すぎる光が迷惑」と忌避されることも多く、環境省は「光害対策ガイドライン」でサーチライトの広告利用を規制している。

・空は多くの人の目に触れる巨大なスクリーンであり、広告ボードとしての機能も持つ。宣伝バナーを吊り下げたアドバルーンは空を支持体とした広告戦略の道具である。

・ある土地の上部空間だけを利用する「空中権」というものがある。空中権は、電線、渡り廊下など上空に広がる工作物を建設する際に設定される。また、空中権においては未利用の容積率を一定の条件のもとで取引することができる(上空の空いた領域を売買できる)。

■参考

[書籍]
飯田隆『虹と空の存在論』ぷねうま舎、2019年
田中利幸『空の戦争史』、講談社現代新書、2008年

[ウェブサイト]
「ドローンを無許可で飛ばせる場所はどこ?探し方、飛ばせない場所も詳しく解説」(ドローンナビゲーター)
風船飛ばしについてのQ&A(一般社団法人日本バルーン協会)
レーザー照射や凧揚げの規制について(国土交通省)
不動産用語集 空中権(三菱UFJ不動産販売)
土地所有権の『上下の限界』|上空は300m・地下は40m(みずほ中央法律事務所)
領空の高さはどこまでですか(帝国書院)
カーマン・ライン(Wikipedia)