Fart Works / 勤務時間に放屁する
勤務時間中に放屁する音声をweb会議ツールなどを介して、リアルタイムに中継する。
・参加者は何某かの労働に日常的に関わっている者に限定する。
・参加者はその労働の勤務中にこれを行う。
・およそ、8時間前後行われる(フレックスタイム制を導入)。
・参加者(演奏者)には、放屁時以外の音声入力は禁止されている。したがってほとんどの中継はほぼ無音である。
※但し、参加者には放屁の音を模倣して音を出すことが許されている。
※但し、参加者の放屁の音が入力できる音量であるとは限らない。
人間は一日、2ℓ多ければ8ℓ程度の屁を、10-20回に分けて放出している。このガスは腸内にいる数にして100兆もの微生物の働きによって生成されている。放屁は、自身の身体の中にいる無数の他者の咆哮の群れであり、私たちが彼らの乗り物である側面を示している。
私たちは、放屁の音や匂いから他者の存在の不穏さを嗅ぎ取るからこそ、公的な場ではこれを忌避する。しかし、この他者の咆哮は、もちろん私たちの都合など顧みない。日々の仕事や公然の場において、放屁の衝動にかられ、それを回避しようと格闘する時それは、人工的な営みと他者の戦いでもある。この戦いの最中、もしくはこの戦いに敗れた時、私たちは他者の強大さ、理解し難さに直面する。
一方で、放屁音の不穏さは、長らく人工的に模倣の対象とされてきた。最近では、実験的なブラックメタル、特にDeathspell OmegaやLiturgy等によって取り入れられている。人間性の他者からの貫通を主眼とするジャンルとしては当然の帰結だろう。即ち、私たちは放屁やその模倣を一つの契機として眼前の人工的な営みを呪い、抗おうとする衝動を重ねることも出来る。
今回の試みは、世界で今まさに起きている他者との咆哮との格闘、もしくはその力を借りた他者への同一化の希求に思いを馳せるためのひとつのサンプルである。
平均BPM0.0069の遅さで駆動する、取りつく島のない格闘や同一化の普遍性こそが、私たちの営み(Artificial)と他者(Others)との関係性を表象することを願って。
Site
参加者各自の勤務場所
Generator/Organizer
出演予定:全員匿名(5−6名)|池田武史
Date
2023年7月28日(金) 10:00− (演奏時間8時間程)