Practices

General Museum | Conference 5

ジェネラル・ミュージアム カンファレンス5 & 展示
「場所の発掘_Some Practices」の紹介と発案 @複数のカフェ

2023年6月30日–7月31日の期間に展開された「場所の発掘_Some Practices」の実践を、実施者本人やGeneral Museumより紹介したのち、それらを参考に新たな実践について話し合い、発案します。

メルカリの商品説明欄に記入された
「場所の発掘_Some Practices」のイントロダクション→

Amazonのカスタマーレヴュー欄に記載された
「General Museum|Site 」のステイトメント→

参加者は複数のグループに分かれ、周辺のカフェに移動し、分散して実施します。ご参加される方は、カフェのテーブルに置けそうな何かしらの展示物(作品、印刷物などの複製、既製品、自然物など)をご持参ください。傍に置かれた展示物によって、その場の空間や会話に作用をもたらします。

タイムテーブル
・18:00 説明_JR新宿駅東口駅前広場に集合
・18:20 紹介_グループに分かれカフェへ
・19:20 報告_JR新宿駅東口駅前広場に合流
・19:40 発案_別のグループに分かれ2つ目のカフェへ
・20:40 報告_JR新宿駅東口駅前広場に合流

Site

複数のチェーン店のカフェ(スターバックス、ドトール、タリーズ、ルノワール、マックなど)|新宿駅周辺

集合場所:JR新宿駅東口駅前広場(アルタ前の広場)
下記の地図の辺りで「場所の発掘_Some Practices」のサインをお探しください
Google Map

Generator/Organizer

「場所の発掘_Some Practices」実施者、参加者|General Museum

Date

2023年7月31日(月)18:00–21:00

Access

参加ご希望の方は、お名前を記入の上、anartuser@gmail.com へお送りください。

・・・
18:00 にJR新宿駅東口駅前広場(アルタ前の広場)に集合。途中より参加される方は、19:20にJR新宿駅東口駅前広場(アルタ前の広場)にお越しください。

参加費:無料(但しカフェでのご自身のご注文料金をご負担ください)
問合せ:anartuser@gmail.com(当日:080-6608-0571)

Document

ジェネラル・ミュージアム カンファレンス5 & 展示
「場所の発掘_Some Practices」の紹介と発案 @複数のカフェ ドキュメント
Site:新宿駅周辺のカフェ
Date:7/31(mon)18:00-21:00
Attendee:石橋友也、池田武史、高嶋晋一、中島水緒、前田春日美、村松珠季、アート・ユーザー・カンファレンス、他

本カンファレンスは「場所の発掘_Some Practices」の最終日に総括イベントとして開催した。開催場所は都内屈指の通行量を誇る新宿駅周辺のどこかしらのカフェ(註1)。集合場所には待ち合わせ場所のメッカとして知られる東口駅前広場をGoogle Mapで指定した。ただし参加者のなかには初めて顔を合わせる者同士もおり、人混みでごった返す東口広場で「場所の発掘_Some Practices」の文字が書かれたペラ紙のサインや、「それらしい雰囲気を持った群れ」へのアンテナを頼りに互いへのアクセスを試みることになった。
集まったのはプロジェクトの運営メンバー、「場所の発掘_Some Practices」でのプラン実施者、イベントに関心を持った参加者たち。10名を超える人数がひとつのカフェに入店することは難しいため、参加者は2つのグループに分かれ、それぞれ別行動で駅近辺のカフェを探した。本カンファレンスでは「駅前に集合し、カフェで複数人が話す」といった、多くの人が日常的に繰り返し行っている振る舞いがモチーフとなっており、空いている店を探し移動するという一連の過程が、場所がはじめから確保されたイベントとは異なる「場所」探しの性質を組み込んでいた。
都市の主要駅に店舗を構える有名チェーン店のカフェは、市民が街中でもっとも気軽かつ安心して確保できる「場所」のひとつである。カフェでは雨風や暑さ寒さを凌ぐことができ、照明があって、充電用のコンセントやWi-Fiも配備されている。飲食物を補給し、活動のためのエネルギーに変換したり、物思いに耽って休息を取ったり、誰かとのコミュニケーションや商談の場に利用することもできる(註2)。
都市生活者にとってカフェの存在は欠かせないものである(公共空間の使用に何かと規制がかかり、公園のベンチすら取り払われることが多くなった近年、都市生活者は街中で疲れて座りたくなってもお金を払いカフェに入るくらいしか選択肢がない)。広場や路上、カフェといった場所は、自由度が狭められた公共空間において市民が流れ着く漂着先であり、「場所の発掘」をテーマとする本プロジェクトにとって重要な対象である。また、制度的空間ではない、都市空間もしくは商業的空間でのカンファレンスは、話しやすい環境とそうではない環境の落差を体験させるものである。

二手に分かれたとはいえ、混み合う新宿駅周辺で多人数で入れるカフェを探すことは簡単ではない。比較的スムーズに駅ビルのタリーズに入店できたA組とは対照的に、目星をつけた一軒目に入店できなかったB組のカフェ探しは難航し、適当なカフェに辿り着くまで繁華街を彷徨うこととなった。もっともこうした彷徨い歩き探すことも「場所の発掘」に伴う過程と言えるだろう。カフェでは「場所の発掘_Some Practices」にてどのようなプランが実施されたか実施者本人と運営メンバーから紹介が行われ、議論が交わされた。議論の傍ら、カフェのテーブルの上には参加者各自が持ち寄った品々が置かれ/展示されている。林檎、巨大な松ぼっくり、ポータブル・サイズの絵画、オークションサイトで入手した古代ギリシアのコイン、本プロジェクトに関連した写真集の見本、様々な指示が記されたTシャツ、由来不明の石、賞味期限が明日切れる備蓄用の乾パン、アルミホイルを丸め叩いて作られたアルミ玉、黒いポリ袋。これらの品々は、注文した飲食物と一緒に程良い案配で散漫に展示された。カフェのテーブルは、注文した飲食物だけでなく、客が持ち込んだ本や雑誌、勉強道具一式、ノートPC等々を受け入れる多目的スペースでもある。今回持ち込んだ品々の「展示」は、その多目的スペースをいかに活用・流用するかの実験的試みとなった。
カフェでの「展示」はいくつかの問いも提示した。テーブルの上に物を雑然とした状態で置くことが「展示」になりうるならば、それはストリートにおけるパフォーマンスと近しいものになるだろうか。自室に物が散らかっていることも「展示」になるだろうか。置いてあること/展示していることの境界はどこか。テーブルの上に物を雑然とした状態で置くことが「展示」になりうるならば、それはストリートにおけるパフォーマンスと近しいものになるだろうか。
また、机の上に何かしら設置し、その場で話をすることは、カフェの席で落ち着いて話すことに亀裂を差し込むと同時に、参加者だけでなく、他の客や店員の眼差しも呼び込むことになった。

1回目のカフェ・カンファレンスは約1時間ほどでひとまず終了した。そのあとA組B組はふたたび新宿駅東口広場に集まり、メンバーをシャッフルしてふたたび二手に分かれ(C組D組の組織)、2回目のカフェ探しを行った。2回目のカフェ・カンファレンスでは、新たな「場所」の発掘が可能であるとしたらそれはどういったものか、そもそも「場所」とは何かといった、より広い視野をもった議論が参加者同士で交わされた。1回目のイントロダクション的なターンを経て緊張がほぐれたのか、参加者同士の会話も活発さを増してきた印象だったが、雑然としたカフェ内で込み入った話をすることの難しさもあり、消化不良のまま途切れてしまった話題があったように思える。
カフェでの歓談中には「場所の発掘_Some Practices」の実施者のひとりである高嶋晋一によるプランの実演がゲリラ的に行われた(註3)。「場所」の発掘について議論が進められる一方、数人の参加者が高嶋のパフォーマンスに巻き込まれている状況は、複数のタイムラインが進行する亀裂の入った「場所」の在り方として興味深いものとなった。
2軒のカフェのハシゴを経て参加者はふたたび全員で新宿駅東口に集まり、ある者は帰路へ着き、ある者は夜の新宿駅の飲み屋へと流れていった。本カンファレンスはひとつの目的を共有する集団が、群れの分割、集合、再分割を経ながら都市空間を縫い歩くという特殊な設定を持っており、参加者/鑑賞者の誰によっても全貌を把握されるものではない。「場所」は決して安定したスペースなどではなく、そのつど即興的に発掘される。不確かな集合場所、スムーズにいかない空席探し、雑然とした店内、細かなタイムスケジュール、傍らに置かれた様々な展示物。こうした要素はカンファレンスを散漫なものとするが、散漫に干渉しあう要素を総合的に捉えることによって、「制度的な意味付けと占有の網が張り巡らされた世界に隙間を見つけ、そこから新たな「場所」を発掘し、占有することなく使用すること」といった本プロジェクトのコンセプトが明確になるのではないか

(註1)新宿駅には多数の店舗がある。新宿区は東京都内で一番飲食店が多く、とりわけ東口方面は新宿エリア最大の繁華街を形成している。以下を参照。Wikipedia「新宿駅」
また新宿駅周辺には、西側のビジネスエリアに7店、東側の商業エリアに9店のカフェが満遍なく点在している。別情報では「新宿駅周辺(半径800m圏内)にはスターバックスが23店舗」とある(2023年11月現在)。以下を参照)。「日本全国チェーン系カフェ・喫茶店マップ」
(註2)カフェの歴史や機能については以下を参照。Wikipedia「カフェ」
(註3)高嶋による実演のあらましは以下の通り。まず、黒いポリ袋のなかにある謎の物体を袋の中身を見せない状態で参加者に触らせる。同時に参加者はポリ袋(の中身)とは別の物体――たとえばカフェのテーブル上に設置した持ちよりの品々――を見るように指示され、視覚と触覚が分離して平行的に作動している状態(目で見ている対象と指先で触れている対象が既知の感覚において整合性を持たない状態)を体験する。さらに参加者は、正体不明の物体Xに触れる指先がいかなる感覚を受容しているかを言葉で記述するよう求められる。以下のドキュメントも参照。高嶋晋一「わたしがここにいてほしい」