Practices

うたを手放す – 拾う – 詠む

Let go of Tanka - Pick up - Compose

概要
歌人たちが公園に集まり、その場に身体をおくことで発生する言葉で歌を詠む。企画賛同の歌人5名ほどで実施。言葉をその場の落ち葉に書き記し、書いたら任意の場所(例:切り株の穴、木の幹に挟む)へ言の葉を溜めていく。

行程
1.身体と言葉を場所に慣れさせる-歌詠みのための準備運動
2.公園で新しい経験を追加する(公園内で昼食を取る、主催者による私的公園ガイド)
3. 上の句(五・七・五)もしくは下の句(七・七)を詠む
4.短歌を詠む(1と3で溜まった言の葉を利用可、書き足しや言の葉の組み合わせ可)

Site

石神井公園
住所:東京都練馬区石神井台1丁目26−1
Google Map

Generator/Organizer

小栢可愛

Date

2023年7月22日(土)11:00 – 14:00
※雨天決行 荒天中止

Access

西武池袋線「石神井公園」下車徒歩7分 公園内を移動しながら実施

Document

石神井公園の三宝寺池側に位置する石神井城跡横の林で活動した。

11:00-12:00
言葉を落ち葉に書きつけている様子は、側から見ると地面の何かしらを観察しているような姿に見えた。うたを手放す、を第一に意識するようにして取り組んだためか、企画者の予想以上に短時間でたくさんの手放されたうた未満の言葉が溜まっていった。

12:00-13:00
昼休憩を公園内の休憩所でとることで身体経験を重ねた。

13:00-13:30
三宝池周辺ルートを企画者によるガイド(季節によって変わる木々の色や、渡鳥が来る様子、地域の人々の公園での過ごし方など)を交えて散策しつつ午前中の活動場所へ戻る。これも公園での身体経験を重ねる一環として行った。

13:30-14:30
午前中に溜まった言の葉を各自確認しつつ、うたを詠んでみる。
溜まった言の葉の組み合わせでうたを詠むも可、新たに言葉を付け足すのも可、言の葉を使わず一からうたを詠むのも可とした。
出来上がったうたは、各うたの中にいくつもの異なる身体(視点)が入っているような印象を受けるものが多い。

【当日詠まれたうた】

もういちどかつてあそんだあつい日の石神井川のワニに会いたい

森のおく背中が破れているセミの声だけすっと空気にひびく

虫たちは人間のことどう思う?森の奥からジリリリリリリ

葉脈に迷い込む虫木もれ陽の光たよりに死んでいきます

抜けがらになってもしがみついているこそばゆくても払わずにいる

この糞はきっと烏のかもしれないやりなおせたらいつかは土に

羽化したらどこへ行こうか弱虫な私にとまる弱虫な虫

参加歌人
岩舘澄江、岡部杏里、金森人浩、野崎挽生

…………………
企画者感想
参加歌人の方々の感想をみると、言葉を手放すことを推奨したためか、それによって余白の様なものを各自が持ち、周囲の環境把握を細部までしたり、自身のうたを詠む際の感覚から距離をとってみたりと、自由に余白部分を使われていた様だった。
本企画実施後翌日に自分一人で公園の同じ場所を訪れると、昨日は無かった骨董市がすぐ側の神社で開催されており、また林ではコスプレイヤーが撮影を行っていた。もし、企画実施日が違えば、また違った言葉が生成されるだろう。そう考えると「日程」もある意味場所といえるのかもしれない。
本企画を発展させるとしたら、一箇所で数日間かけて実施してみたい。

Porject
Porject
Excavation of Site_Some Practices

場所の発掘_Some Practices

A new form of Platform_Thinking through art and technology
2023.6.30–7.31