浅川に面したアパートの縁には多肉植物の「朧月」が砂色の葉を広げている。不思議なことに、砂を含んだリシンが吹き付けられたアパートの外壁も同じ色をしている。砂を構成する透明な石英の破片は不規則に並ぶことで光を錯乱させ「砂色」として見える。朧月の葉もまた、ワックスやトリコームで光を錯乱させ、太陽光から身を守っている。すべての水を蒸発させようとする太陽に対抗するように、肉厚の葉は内部に水分を滞留させている。一方で、蒸発してしまった水は雨となって地上に戻り、浅川を流れて砂を運び、この土地を形作っている。川辺の緑たちは太陽が発する凶暴な緑の電磁波をはね返すことで、かろうじて身を守っている。
こうした昼間に私たちが目にする風景のすべては反射した太陽の姿にすぎない。地上の物質は太陽の輪郭を錯乱させ、朧にすることで自身の姿を垣間見せている。川沿いのアパートと朧月の砂色の風景はそうした太陽光の束の間の滞留として現れている。