《ロスト・オブジェクト》

八王子市中野上町でのジェネラル・ミュージアム⓯:八王子市中野上町5丁目22

川口川とその川跡が入り組む地域で、中野清水公園の砂場は子供たちの作るアースワークを溶融させるクレーターとなっている。かつて八王子には日本最大の隕石が落ちたという。隕石が地球へと落ちる確率はわずかだが、隕石が集まってできた地球の表面は全て隕石の落下跡である。月面のように無数にあったはずのクレーターは水と風の風化作用が消していった。自然を丹念に観察したレオナルド・ダ・ヴィンチは地上のすべての形が風化して失われていく運命にあり、地球はやがて完全な平坦になると予測した。
子供達は砂をいじりながら、そこに山や川やトンネルといった場所を見いだす。しかし砂場の本質はファウンド・オブジェクトではなくロスト・オブジェクトの経験にある。砂場とは、そこに投影した観念や意味が飽和し、飲み込まれていく場所であり、人はその対象の喪失を通じて客観的な世界を知覚するのだ。太陽から放たれた光子は1×10¹⁸の確率で眼球へと落下し、網膜にスパークを生じさせる。そしてそのひとつひとつの光子が網膜を飽和させてゆき、直視できない太陽をやがて知覚させるだろう。