東京紙業の古紙回収工場では印刷物が圧縮されている。かつて「プレス〔印刷〕」によって意味を与えられた書籍や広告は「プレス〔圧縮〕」によって再び未分化な塊へと戻される。こうした労働作業は作者による「ものづくり」とは対照的だ。作者は世界を切り分け、対象化し、名付けることで「作品」を作る。しかしここでは、「作品」を多義的で未規定な物質へと回帰させる労働が行われている。資本主義的な生産システムにおいて疎外された労働者は、主体や創造という幻想から遠ざかり、物質的宇宙の真理へと近づく。美術評論家の織田達朗はそれを「プロレタリア的人間の物質直感の宇宙性」と呼んだ。
圧縮された文字や図像は情報エントロピーを増大させ、多義性の極地へと落ちていく。一方で、表面に残された文字や図像のコラージュは、真の大衆芸術のありかを示唆するアーカイブとなっている。