ホタテの貝塚

The Scallop Shell Mound
  • Maker
    ホタテ貝、養殖業者、日光
  • Date
    2021
  • Medium
    炭酸カルシウム
  • Location
    青森県つがる市木造出来島雉子森大沼12

《ホタテの貝塚》は素材と生産物、生産物と廃棄物を脱分化させるアースワークだ。廃棄されたホタテの死骸は積み上げられて白く輝く胡粉のランドマークを生み出し、何かの素材となるのを待っている。廃棄物/ 生産物/素材という人間中心的な分割を逃れることで、「生産」と「創造」という近代のイデオロギーに隠された総合的な作品生成プロセスが見えてくるだろう。

たとえば、セメントを使った建築は 人工的な生産物とされるが、セメントの主成分であるカルシウムは石灰石として堆積した貝やサンゴから採取されている。カルシウムを利用して、貝は柔らかい体を守る部屋を作り、サンゴは大規模な集合住宅を作り出す。そういう意味では、人間よりもカルシウムが建築を生むのかもしれない。 背景に見える風力発電機は大気を可視化し、向こうからこちらに繋がる電線はデジタルカメラのファインダーに映るこの《ホタテの貝塚》につながっている。