出来島海岸埋没林

The Submerged Forest in Dekishima Coast
  • Maker
    河(堆積作用)と波(侵食作用)
  • Date
    約28000年前–
  • Medium
    泥炭、酸化鉄、プラスチック
  • Location
    青森県つがる市木造出来島雉子森大沼

波が海岸線を侵食し、約28,000年前の埋没した森が露呈する。《出来島海岸》は、土地が不動なものではなく、常に堆積と侵食の過程にあることを示している。岩山は剥がれ落ち、川に砕かれ、砂浜となって堆積する。そして風は海面にうねりをもたらし、その砂を海底へと運んでいく。海岸線は多重な作用がせめぎあう場であり、陸地の輪郭が固定されることはない。ダムやテトラポッド、防波堤といった人工の大規模な建造物は、さらに大規模な自然の堆積と侵食運動への小規模な抵抗として機能している。

海岸に堆積したさまざまな工業生産物もまた風化や酸化にさらされ、物体と環境の境界線はぼやけていく。抽象的な白い直方体のケースの輪郭線は酸化して盛り上がり、海岸線に露呈した褐色の壁へと連続する。そこでは炭化した有機物が作る黒い泥炭層を酸化鉄が褐色に染めている。コークスと鉄鉱石は製鉄の材料であり、炭と酸化鉄は鉄の材料洞窟壁画を彩る最古の絵の具でもある。海岸線にはそうしたオートマティックな壁画が延々と続いている。

燃焼によって酸化と炭化を進めることで、より鮮やかな色が得られる。テトラポッド、そして鮮やかなバーント・シャンナとカーボン・ブラックに輪郭付けられた痕跡は、「作品」という環境から切り離された人工物の観念を侵食する展示物だ。そこでは物体の輪郭は失われて環境へ溶解し、人工物が自然物であった事実を露呈している。