Practices

3D PRINTABLE.GALLERY :
谷口暁彦 個展「親知らず/wisdom teeth」

3D PRINTABLE.GALLERY : Akihiko Taniguchi solo show “oyashirazu / wisdom teeth”
3D PRINTABLE.GALLERY
3D PRINTABLE.GALLERY
作品イメージ
作品イメージ
ギャラリー外観
ギャラリー外観

3D PRINTABLE.GALLERYは、3Dプリンターで展覧会を印刷することで展示を鑑賞できるオンラインギャラリーです。2020年から企画が始まり、途中数年間の中断を経て、晴れてこの度オープンとなりました。こけら落としとなる最初の展覧会では、当ギャラリーのディレクターでもある谷口暁彦による個展「親知らず / wisdom teeth」を開催します。

「親知らず」は、他の歯と比べて遅い時期に生えてくる第三大臼歯のことです。この、「親知らず」という変わった名前の由来には諸説あります。10代後半から20歳前後に生えてくることから、親が知らないうちに生えてくる、あるいは、昔はその頃には親が亡くなっていたからという説があります。また、対応する乳歯(親)を持たず、生え替わることなく突然生えてくるためであるという説もあります。そして、親知らずは生えてこない人もいたり、真っ直ぐに完全な形で生えてこない事が多く、しばしば抜歯されてしまう不遇な歯でもあります。谷口は、このような「親知らず」というモチーフと、3Dプリンタで出力する展覧会のあり方を重ね合わせながら、3D PRINTABLE.GALLERYのさまざまな可能性を探求します。

Site

Webサイト上から3Dプリント
https://3dprintable.gallery/

Generator/Organizer

谷口暁彦

Date

2023年7月7日(金)より順次公開

Access

まず、3D PRINTABLE.GALLERYのサイト https://3dprintable.gallery/ にアクセスし、鑑賞したい場所の3Dデータをダウンロードします。そして、そのデータを3Dプリンタで出力することで会場にアクセスできます。

Document

3D PRINTABLE.GALLERY は、新型コロナウイルス(COVID-19)が世界的に流行しはじめた2020年に発案された。これは3Dデータとして存在するバーチャルなギャラリーだ。たんにそれぞれの作品が3Dデータであるということではなく、それが展示されている展覧会全体が3Dデータになっているということだ。つまり、3Dデータをダウンロードし、3Dプリンタで出力することで初めて展覧会に訪れることができる。

しかし、その後すぐ実現することはできなかった。2023年になり、ジェネラル・ミュージアム「場所の発掘_Some Practices」に参加する際にこれを参加作品として制作を始めた。

3D PRINTABLE.GALLERY という架空のギャラリーでのはじめての展覧会として自分自身の 個展「親知らず/wisdom teeth」を開催することにした。これは3Dプリンタで出力される展覧会自身が、どこかその存在の根拠や来歴となる足場が存在しない状態、親のいない状態を「親知らず」という歯の不遇さと重ね合わせたものだ。また3Dプリンタで出力されるオブジェクトは、まるで地面から生えてくるように製造されることとも繋げている。また、偶然ではあるものの展覧会は作者自身、つまり私自身の誕生日である7月7日から開始とした。

開始時には全ての3Dモデルの公開は間に合わず、順次継ぎ足すように公開していった。最初は展覧会のフライヤーから、そのフライヤーが美術館に届く様子、それを手に取った「誰か」の暮らし、そしてギャラリーへと向かうところなど、展覧会にまつわる、しかし展覧会とは見なされない外部のプロセスも3Dモデルとして表現した。

こうしたバーチャルな展覧会は、通常の展覧会とは大きく異なる点がいくつもある。ひとつ取り上げるなら会期の問題だ。実空間で行われる展覧会は、一定の会期がほぼ必ず設定される。それは次の企画展のためであったり、集客上の問題、その場所の家賃などの諸経費など、さまざまな要因によって有限な期間が設定される。しかし、オンラインのバーチャルな展覧会は、実空間の展示にくらべてはるかに低いコストで維持が可能だ。さらには、物理的に大きな空間を占有するわけではない(実際にはどこかのデータセンターの、ストレージのある領域を使用している)ため、有限な会期を設定する根拠が極めて薄い。そのためこの展覧会も会期の終了が設定されないまま開始された。

結果として、この展覧会は開始されたがまだ終了する見込みがたっていない。無限の会期に対して作者のモチベーションの方が有限で、そのモチベーションを駆動したり拘束する有限性がなくなり、タガが外れた状態だ。現状、この展覧会では、鑑賞者がギャラリーに到着し、ひとつめの作品が現れたところで中断している。

今後、この展覧会が再開するのか、どのようになっていくのかはよくわかっていない。

Porject
Porject
Excavation of Site_Some Practices

場所の発掘_Some Practices

A new form of Platform_Thinking through art and technology
2023.6.30–7.31