香りで記憶を作る – 共有する
小栢のアートプロジェクトに過去参加した人々をゲストに迎え、調香とお喋りをする。調香するのはゲストのみ。調香した香料を分けてもらい、生活する自宅スタジオのレースカーテンを香袋に見立て、袋状にし、その中に香料を設置する。そのまま15日〜1ヶ月、ゲストが調香した香りと共に生活する共薫記憶生活期間を過ごす。
ゲストが持ち帰った香料の使用方法は自由。
・共薫記憶生活期間は一人の調香物につき15日〜1ヶ月
・各香りが混じらないように一回の設置で一人分の香りのみとする
Site
自宅スタジオの窓に掛かったカーテン
Generator/Organizer
小栢可愛
Date
1回目 調香7月1日 調香後共薫記憶生活期間7月1日–7月15日
2回目 調香7月19日 調香後共薫記憶生活期間7月19日–7月29日
Access
非公開
調香参加者へ個別招待連絡
Link
Document
調香実施日: 7月1日(土)
調香後共薫記憶生活期間7月1日–7月15日
予想では、調香作業中には関係のないお喋りが交わされると思われたが、実際には企画主催者およびゲストは調香に集中し、話題の中心はどの香料をどの程度使用するかに焦点が当てられた。ゲストは事前に望む香りのイメージとその目的を決定しており、そのイメージに近づくために嗅覚と言語を用いたコミュニケーションが行われた。
※完成した香りの内容はこちら→ 調香レシピ
出来上がった香料をレースのカーテンに設置し、共に過ごしてみた所感は以下の通り(7月7日現在)
・部屋全体に香りが充満することはない
・窓際で使う認知能力の優先順位が嗅覚>視覚に変わる
・朝、カーテンを開ける瞬間に、カーテンとレースカーテンの間に滞留していた香りが広がる。そのため、カーテンを開けることが一種の儀式的な時間や行為となっている。
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追記:
香りが徐々に薄まり弱くなるにつれて、カーテンを開けることが儀式的ではなくなっていった。尖が丸くなった香りは自ら意識的に追わなければ、その存在を掴めなくなっていく。
日に日に失われる香りを「まだ其処に在る」か確かめる日々を過ごした。
第二回調香実施日:7月19日
調香後共薫記憶生活期間:7月19日- 7月30日
時節に相応しい「避暑地の香り」を調香した。
あらかじめいくつかの気に入った香料をピックアップする方法をとったためか、殆ど悩む時間なく順調に調香が進んだ。調香者がおにぎりの中の昆布の匂いを思わせる、と表現した香料があったが、どの香料のことか全く分からなかった。
※完成した香りの内容はこちら→ 調香レシピ
7月25日-7月27日の間、自宅スタジオを離れなければならず、香りを持ち運び別滞在先のレースカーテンへ設置した。滞在先の外と内との関係は、自宅スタジオのそれとは違い距離がある。そうすると、香りと自身との距離も遠ざかった。
帰宅した際、まだ香りを設置し直していないにもかかわらず、外したはずの香りに出迎えられている気配を僅かに感じた。