Practices

(右)の写真

本イベントはスマートフォンアプリLINEのグループチャット内にて、指示に従って参加者各々が写真を投稿するイベントになります。「右を撮ってください」「下を撮ってください」「壁を撮ってください」といった参加者各々がいる場所での簡単な撮影指示が不定期に投稿されますので写真のみをご投稿ください。開催時間中は、どこで何をしていても大丈夫です。写真が撮れない状況では、スルーしても時間を空けて応答しても構いません。

 

生々しい写真
私のスマホのカメラロールの中には、身に覚えのない写真が何枚かある。
それらはほとんどがブレている写真で、例えばスマホを首からストラップで下げている時に何かの拍子でカメラアプリが起動してしまい肌が接触してシャッターが押されたものであったり、カメラが起動している時にスマホの側面についている音量調節ボタンはカメラのシャッター起動ボタンになるのだが、気づかずに聴いている音楽のボリュームを調整しようとして意図せずに撮られた写真など。そうやって不意に撮られた写真は私の歩く振動でブレていたり、ただ足元が映っていたり、何かを写しているわけではないのに妙に生々しい。

配慮
写真をSNSに投稿したり友人に送ったりするとき、上手く被写体が撮れているのか、または何か写してはいけないものが写っていないか、一度は確認して送信ボタンを押すのだと思う。「何か写してはいけないものが写っていないか」「自分の意図にあっている写真だろうか」私は何度も確認して安心してから送信ボタンを押すタイプなので毎度気力を削られる行為になっている。

今回の企画中は、主催者から1日のうちに不定期に指示が出される。その指示によって撮るという仕草は乱暴になるかもしれないし、より慎重になるかもしれない。そういったことから、何を写したいかではなく何を写さないか、何が写ってしまうのかを考えていきたい。

 

Site

スマートフォンアプリのLINEのグループチャット

Generator/Organizer

前田春日美

Date

7月8日(土)
10:00~23:00(1日中)

Access

参加希望者は下記のフォームからお申し込みください。送信いただいたメールアドレスにグループチャットのリンクをお送りいたします。
参加申し込みフォーム

*グループチャット内では匿名での参加が可能なほか、ほかの参加者及び主催者へLINEのIDは開示されません。
*グループチャット内にご参加された方から送信された写真は、主催者がイベント終了後もHPに掲載を行なったり、二次的に使用をすることがありますのでご了承ください。

Document

「(右)の写真」は7月8日(土)にスマートフォンアプリLINEのグループチャット上にて行われました。

グループチャット内は匿名なので、イベントへの参加具合や写真の内容などが個人に結びつきません。当然主催の私にもわからないので、それぞれの参加の態度も自由に捉えてもらえるのではないかと考えていました。また、指示は「不定期」と記載しましたが基本的に正時にし、ある程度予測できる間隔で投稿しました。指示を出す時間に規則性を持たせることで、間の時間が行動の区切りになったり次の指示のための準備(写真を撮りやすい場所に行くなど)になったり、写真を撮るという行為とそれぞれの生活のリズムとの結びつきが各々の選択に委ねられることを期待したためです。

最終的な参加者は26名でしたが、参加の仕方はそれぞれ異なり、最初から欠かさず指示に従って写真を投稿する方もいれば一度だけ投稿する方もいたり、終始観覧のみの方など様々でした。

指示は「(右・上・遠く)を撮ってください」など具体的な「なにか」を撮るようなものは少なく、どちらかというと撮影時の体の向きを想定したものが多かったため、投稿された写真は即物的なものが多くなります。例えばカメラロールに並んでいたら迷わず消してしまいそうな壁や何もない空間を写したものや何かの接写など、身内ではなく他人と写真を共有する場で現在地が明確にならないようになどパーソナルな部分に配慮された写真は逆に撮影者自身を想像させるようで私には生々しく感じられました。

最終的に参加者それぞれの時間の区切りで過ごす中で撮影された写真がスマートフォンの縦長の空間に収められ、見返すためには指を長いこと上下にスライドさせなくていかなくてはいけない様は独特の時間や場所性を表していたようです。イベント後、撮影された一部の写真を印刷してみましたが何かの断片のようになってしまったため、アーカイブはチャット欄のスクリーンショットをそのまま自身のHPに掲載しました。

https://www.kasumimaeda.com/event/workshop/photo-of-

Porject
Porject
Excavation of Site_Some Practices

場所の発掘_Some Practices

A new form of Platform_Thinking through art and technology
2023.6.30–7.31