香りで記憶を作る – 共有する Transposition Ver.
アートプロジェクトとして貸民家「プライベイト」を運営する美術作家の慈さんと、「プライベイト」にて調香とお喋りを行う。調香実施者は慈さん。かつての住まいであり、現在は他者へと開かれたオルタナティブスペースとなった場所に、過去や現在もしくは未来の香りを纏わせる。調香してもらった香料を分けてもらい、小栢の自宅スタジオのカーテンに設置する。「プライベイト」の香りと共に生活する共薫記憶生活期間を過ごす。
プライベイトで実施する調香は有料公開(1人/¥300)、以下の条件で現地見学可能。
調香とお喋りの様子の見学
各香料の試香
途中入退場可(最後までいる場合、出来上がった香りの試香可)
香料持ち帰り不可
当日の調合レシピ公開
Site
貸民家プライベイト〜自宅スタジオの窓に掛かったカーテン
住所:東京都江東区大島5丁目25−12
Google Map
Generator/Organizer
小栢可愛
Date
調香(有料公開、予約不要):7月30日(日)13:30–15:30
調香後共薫記憶生活期間(非公開):7月30日–8月10日
Access
都営新宿線大島駅から徒歩5分
詳細:https://tokyoprivate.theblog.me/pages/3489813/static
Document
調香実施日: 7月30日(日)
調香後共薫記憶生活期間7月30日 – 8月11日
今までの自宅スタジオでの調香とは違い、他人のスペースで、第三者を交えての調香を実施した。
調香した香りは「プライベイトの台所」…台所周りの暗くて落ち着いている感じ、甘重系。
慈さんは丁子の香りに敏感で、私や見学者には嗅ぎ取れない匂いを察知していた。また、慈さん独特の匂いセンサーによると丁子を使用していなくとも桂花+白檀=丁子のようなアクセントがあるとのこと。
調香した香料は本イベントのチラシを折って作った器へ入れ、プライベイトに設置してもらった。
同じ香りを自宅スタジオのレースカーテンに設置すると同じ香りなのに別の香りへ変化したような気持ちがした。香りが場所を作るのか、場所が香りを作るのか。
8月1日
お昼の12時なのに18時頃のような暗さ、そして激しい雷雨となった時、香りの主張が強くなった感じがした。空気中の水分が関係するのかもしれない。
8月7日
香りが穏やかになったのか、プライベイトでは甘重系だったのが今はやや爽やかな優しい雰囲気さえする。プライベイトの台所は周りに建物があるため昼間でも暗い。私の自宅スタジオの窓際には大きな窓があって明るく、庭の緑と少しの空が見える。場所の印象が香りを変化させている?
追記
3つの香りと共に生活する期間を終えた。
最初の2つは自宅スタジオへ調香者へ来てもらい、最後の1つは自らが調香者の元(貸民家プライベイト)へ赴き作られた香りだ。それぞれの香りと過ごし、場所(自宅スタジオ窓際)にどのような変化があったかは各ドキュメントに記載したが、最後に興味深い現象があったため本追記をする。
プライベイトで調香された香りと過ごして数日後、うたた寝をしていると、プライベイトを舞台とした夢をみた。断っておくが、私は他人の夢の話に全く興味がない。また、自分がみる夢の話を人に話す趣味もない。なのでこの追記を書かなくてはならないような事象が起きたことは、自身でも想定外で、かつどちらかと言えば望ましくない事だ。が、起きてしまったのだから仕方ない。
舞台がプライベイトといったが、同じ3階建ての民家であることと暗い照明下で見る木材の壁面の印象などの要素でプライベイトであると判断したのであって、はっきりとあるがまま現実のプライベイトが舞台であったわけではない。またプライベイトは生活するための住居として利用中の状態であった。現在の貸民家ではない。
香りに場所(の意味性)を変化させる作用がある、と想定し実施した企画ではあるものの、夢という場所にまで影響が出るのは少し怖い。この現象は1度しか起こらなかった。だが、香りには自身でコントロールできない要素が多分にあり、そしてそれを無自覚の身体反応によって認知した経緯は宗教施設や儀式に香りが用いられる習慣を思い起こすには十分な体験であった。